「ウィリーズ・ワンダーランド」

映画や本、まんがや絵画など人ひとりが一生のうちに手に取れる作品数には限りがあります。そのなかで、何かのつながりで出会った作品とそこに費やした時間は大切にしたいものです。自分にとってのその作品の価値は、意外に、他人の評価とは違ったりします。

先日、ニコラス・ケイジ主演の2021年公開映画「ウィリーズ・ワンダーランド」を観ました。あまり記憶にないですが何かの拍子にわたしの映画ウォッチリストに潜り込んだ作品です。

“ある男が車の故障で人里離れた町にとりのこされてしまう。通りかかった修理工に助けられるが、車の修理代が払えず、代わりに廃墟となったテーマパーク“ウィリーズ・ワンダーランド”の清掃員として一晩働くことを提案される。軽く引き受けたものの、男は遊園地に閉じ込められ、アニマルロボットたちに襲われることに。かつて子供たちの遊び場だった施設には暗い過去があり、呪われたロボットたちは殺人鬼となっていた――。” (Amazonサイトより)

この作品はB級ホラー映画の仮面を被った、仕事術の映画なのです。なぜなら、作品の根底に流れるメッセージが社会人へのアドバイスに富んでいるからです。

映画の主人公は(名前を名乗らないので、ニコラスとします)理由あって、「翌朝までに廃墟となったテーマパークのキレイにする」仕事を請け負うわけです。ニコラスは60分間仕事をして10分間休憩を取ます。時計のアラームが鳴るときっちりバックヤードに戻り、エナジードリンクを飲みつつゲームに興じるのです。

日本の労働基準法では、8時間以上働くときには1時間以上の休憩が義務付けられています。効率的な仕事のためには、休憩が大事なのはみんな知っています。でも、仕事のキリが悪かったり邪魔が入ったりして意識しないとなかなか休みが取れないことが多いですよね。ニコラスは時計のアラーム機能をつかいつつ、長時間労働の際の休憩の大切さを教えてくれます。

スティーブン・コーヴィは著書「7つの習慣」の中で、第7の習慣として”刃を研ぐ”ことを挙げています。肉体的・精神的コンディションを整え、維持しアップデートしていくことの重要さを説いているのです。ニコラスは10分の休憩で身体を休めつつ、お気に入りのドリンクで元気を注入し、ピンボールで気分もリフレッシュ!

また、ピーター・ドラッガーは著書『マネジメント』の中で、“仕事を生産的なものにするには、さらに基本的なことが一つある。成果すなわち仕事のアウトプットから考えることである”、と述べています。翌朝までにテーマパークをきれいにする、その仕事の成果に向かって一心不乱に掃除をし、邪魔するものも含めて片づけて、働きつづけます。そんなニコラスに仕事術を学んだ、自己啓発本も真っ青な映画なのでした。

投稿者: Naho KONOIKE

大学の研究室で脳の研究をしています。このサイトでは、研究活動の紹介とともに日々感じたことなどを綴っています。このサイトのコンテンツは個人の見解であり、所属する機関とは関係ありません。

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