スペインで『サラゴサ手稿』を読む

国際脳研究機構(International brain research organization: IBRO)が開催する国際学会に初参加してきました。コロナ禍だったこともあり、今回スペイン・グラナダで4年ぶりの大会が開かれました。

われわれ神経科学者が多く参加する学会といえば北米神経科学会(Society for Neuroscience: SfN)主催の、毎年11月に開かれる国際大会です。SfNは参加者が世界中からおよそ3万人の研究者が集います。一方IBROはおよそ3千人弱と10分の1の規模しかありません。しかし、「ときどき噂にきくIBROに一度は参加してみたい」という気持ちと、何より「開催地がグラナダ」であることに惹かれ、今年の研究成果発表の場に選びました。

以前、『サラゴサ手稿』についてはブログにも書きました。この小説の舞台はシエラ・ネバダ山脈であり、この山麓にある都市のひとつがグラナダです。地図をみつつ少しずつ読みすすめていた場所に自分が立てるチャンスを逃すわけにいかない、と思ったわけです。

今年の春、申請していた演題抄録がIBRO採択され、現地に行くことが決まりました。その時点で「下巻」の途中まで辿りついていたのですが、是非、グラナダで『サラゴサ手稿』を読む体験がしたい!と読むのを中断していました。

さて、グラナダへ向かう空港の乗り継ぎ時間に『サラゴサ手稿』を読み、学会に参加して、空いた時間にカフェのテラスでまた読みすすめました。最終日にはアルバイシン地区の丘まで行き、物語の途中に登場する「アルハンブラと呼ばれる宮殿」(p.299)を眺め、岩場のくぼみで暮らすひとびとの生活を目の当たりにし…と夢のような時間を過ごすことができました。

“アルバラジンと呼ばれるグラナダの町外れに住み着いた者もいる。ご存知のように、あそこには家というものがない。人々は山の斜面にある岩場のくぼみに住んでいるのだ。”(p.304)『サラゴサ手稿』畑浩一郎訳(岩波書店)

グラナダのカフェのテラスにて。学会が終わったあと、夕方なのにまだまだ外は明るい。

投稿者: Naho KONOIKE

大学の研究室で脳の研究をしています。このサイトでは、研究活動の紹介とともに日々感じたことなどを綴っています。このサイトのコンテンツは個人の見解であり、所属する機関とは関係ありません。

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