みなさんはSOUL’d OUTをご存じだろうか。2000年代に数々の楽曲をリリースし、2014年に解散した3人組のヒップホップユニットである。解散からもう10年も経つのだが、やれ誰かがNHKのど自慢で歌って鐘を鳴らしたとか、どこかのカフェの新製品が売り切れたのをSOUL’d OUTと呟いたとか、筒香~~~と歌ってる曲があるとか、数年ごとに人々の話題にのぼってくる。
ダサいとか散々いわれつつも、コアなファンは多い。「Bling-Bang-Bang-Born」でこどもたちの心を掴んだCreepy NutsのMC、R指定もSOUL’d OUTがきっかけでヒップホップを聴き始めたと公言しているし、R指定によってときどき披露されるDiggy-MO’モノマネは完成度が高く、SOUL’d OUT愛に溢れている。
私は大学時代、ストリートダンスに熱中していた。フリーターの子とユニットを結成してJAZZ HIP HOPと呼ばれる部類に入るダンスを踊っていた。駅のコンコースや夜の病院入り口で窓ガラスに全身を映しながら彼女と踊っていた日々の傍らにあったのが小型ラジカセであった。電池で駆動するその小型ラジカセに挿入されたカセットテープからはいつでもどこでも踊れるように、お気に入りの曲たちが流れていた。
そんな東北地方の小さな市にRHYMSTERがライブをするという大ニュースが駆け巡り、私の所属するダンスチームの数組が前座で踊る貴重な権利を得た。ライブでは舞台袖で出番を待っていたとき、一番最初のユニットが踊っているのをぼんやりと見ていた記憶と、サインが書かれたTシャツが残っているだけである。あれだけ鮮烈だったはずの出来事は、固定化されることなく私の脳を通り過ぎていったのである。
話が逸れたが、SOUL’d OUTはそういった環境のなかで自然に耳に入ってきていた。あまり熱心に聴いていたわけではない。J-RAPをよく聴いていたのは中学生のときだったし、彼らが活動をはじめたときは、アメリカのR&BやHIP HOPばかり聴いている時期だった。わりと最近になってまた気になり、少し前まで連日リピートするくらいまでには嵌ったのである。
ウェカピポだったりことばのキャッチーさとそのリズムと、他のグループには代えがたい「SOUL’d OUTらしさ」が10年経っても再結成を熱望される所以なのだろう。ライブで突然、Diggy-MO’がピアノを弾きだし、直前のラップとは打って変わって繊細な音を奏でたりするのもポイントが高い。いわゆる、ギャップ萌え、というものだろうか。ちなみに、奥田英朗の小説「ララピポ」はSOUL’d OUTのメジャーデビュー曲「ウェカピポ」の影響を受けているのだろう。経緯はしらないが、映画「ララピポ」の劇中歌をDiggy-MO’が担当しているのは偶然ではない、と思う。「ウェカピポ」は名曲だ。なにはともあれ、私はSOUL’d OUTが好きである。
