京都で仕事を終わらせたあと、京都で開催されていた「異界へのまなざし あやかしと魔よけの世界」展をみにいってきました。会場である京都文化博物館は、以前このブログにも登場した京都国際マンガミュージアムから目と鼻の先にあります。煉瓦造りの本館の前は何度か通りかかったことはありますが、中に入るのは今回が初めてでした。
展覧会場は照明が落とされ、幽霊の掛け軸や能面などが薄暗やみのなかからぼわーっと見えてくる様は、自分がいまひとりでこれらと対峙しなければならない錯覚に陥る感覚があり、この世に踏みとどまるべく解説文を読みながら一歩一歩ゆっくりと巡回していきました。知識がないなりに、百鬼夜行は京極夏彦で知ってる、とか土蜘蛛は『新世界より』に出てきたな、など自分の記憶とこの巻物に描かれた初めてみる妖怪の姿を新たなネットワークで繋ながら一通り展示を堪能して帰路についたのでした。
その後しばらくして、知人が京都に能の鑑賞に行くと聞きました。そういえば気になっていたアニメ―ション映画『犬王』も能の話だったよな…と思い出して、観てみました。実在した能楽師・犬王をモデルとした古田日出夫の小説が原作となっており、盲目の琵琶法師と犬王との出会いから、彼等の舞台が大衆を熱狂させるようになる過程が描かれています。現代風にアレンジされた琵琶の音色と、女王蜂・アヴちゃんの特定の枠に嵌らない声色、そして能と呼ぶには斬新すぎる踊りが相俟って、さながら異界の音楽フェスに参加しているような感覚がありました。
この『犬王』では能面や音楽、踊りが異界とつながるきっかけとなる場面が描かれています。実際に、「異界へのまなざし」展でも将軍が鑑賞する能の場面に異形が現れる巻物がありました。平家の怨念を聴き、能楽で成仏させる犬王のシャーマンとしての側面にもとても興味を惹きつけられたのでした。

