おもいでの絵本

鞄に本を入れ忘れて外出したある日、待ち時間に読むものを探していて&Premium特別編集「あの人の読書案内。」を手に取りました。

この雑誌のなかに「私の思い出の本」という特集があり、29名のクリエイターがこどもの頃に読んだ思い出の本(おもに絵本)を紹介していました。自分にとっては懐かしの絵本とは何だろう?と考えるきっかけになりました。

私がこどもだった頃に読んだ絵本、こどもたちが小さかった頃に読んであげた絵本。かぞえきれない絵本たちが私を通り過ぎていき、そしていまの私をつくっています。そのなかでもとくにお気に入りだった絵本のうち、再入手して現在手元にあるものをご紹介します。

ひとまねこざるびょういんへいく M.レイ 文 , H.A.レイ 絵 , 光吉 夏弥 訳

移動図書館で何度も借りたお気に入りの絵本です。この「ひとまねこざる」シリーズはアニメ「おさるのジョージ」の原作となりました。はめ絵のこまをキャンディーだと思って飲み込んでしまったジョージはお腹が痛くなります。かかりつけのお医者さんで診てもらい、こども病院に入院して”こま”を摘出してもらうお話です。「お医者さん」「さる」と、私のこれまでの歩みに大きな影響を与えたに違いない、と思わせる絵本です。

原作者であるレイ夫妻の足跡は「戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ」という本になっています。この中に、レイ夫妻がブラジルでの新婚生活の際、ペットとしてマーモセットを飼っていたことが書かれています。旅行先のヨーロッパの寒さで残念ながら亡くなってしまったようです。マーモセットの体調管理の大変さがわかるエピソードです。

おによりつよいオレマーイ(サトワヌ島民話)こどものとも 1975年7月号 土方 久功 再話・画

とおいみなみにあるサトワヌ島の、とてもとてもつよいオレマーイという少年のお話です。小さいころとても好きで繰り返し読んだ絵本のひとつですが、ストーリーも絵もちょっと奇妙なこの本のどこにそんなに惹きつけれられるのか、当時はよくわかっていませんでした。

土方久功(ひじかたひさかつ 1900-1977年)は東京美術学校(現在の東京藝術大学)で彫刻を学んだ芸術家であり、パラオ諸島の調査に携わった民俗学者でもあったようです。文字を持たないサトワヌ島(現在のサタワル島)の民話をいくつも採録し、民俗学的資料として残しました。そのなかのひとつがこのオレマーイの話だそうです。太平洋に浮かぶ南の島で口から口へ伝えられてきた民話が、土方の研究とその芸術性の高い絵によってひとつの絵本となりました。自らの調査地で見て聴いてきたさまざまなことを「こどものとも」という月刊誌を通して日本のこどもたちへ届けたい、という情熱が幼い少女のこころを動かしたのかなと今になって思います。

くいしんぼうのあおむしくん こどものとも 1975年235号 槇 ひろし 作  前川 欣三 画

かの有名なエリック・カールの絵本「はらぺこあおむし」になんだか似たタイトルですが、内容はまったく違います。ある日、まさおくんの帽子についていたのは何でも食べるあおむしくん。最初はゴミを食べていたのですが、どんどん大きくなって、家や船、町まで飲みこんで…。というストーリーです。こどもながら、後半にでてくる荒寥とした世界の場面が好きでした。ここ最近のディストピア小説が無性に気になる原点となる本なのかもしれません。ラストのページもよいのです。読んだあと、自分がいま居る世界の見方がちょっと変わる絵本です。

投稿者: Naho KONOIKE

大学の研究室で脳の研究をしています。このサイトでは、研究活動の紹介とともに日々感じたことなどを綴っています。このサイトのコンテンツは個人の見解であり、所属する機関とは関係ありません。

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