数か月前になりますが、京都国際まんがミュージアムを訪れました。京都市とマンガ学部がある京都精華大学の共同事業で、博物館のような図書館のような文化施設です。約30万点の資料が保管・管理されており、そのうち5万冊のマンガは管内で自由に閲覧できるようになっています。
訪れた日は良い天気で、大きな中庭の芝の上に寝転んだり、パラソルのあるベンチに座ったりしつつ気になる作品を読む2日間を過ごしました。
ちょうど「描くひと 谷口ジロー展」が開催されており、原画約300点を見ることができました。漫画家谷口ジロー(1947-2017)は人気ドラマ『孤独のグルメ』の原作の作画で知られています。
私は関川夏央原作・谷口ジロー作画の『事件屋稼業』が好きで、今回も原画をみたりマンガ作品を読んだりして谷口ワールドを満喫しました。主人公は探偵・深町丈太郎。レイモンド・チャンドラーの短編集のタイトルでもある「Trouble is my business」をモットーにしており、フィリップ・マーロウ日本版、といった作品です。
ちなみに、このところ作品がつぎつぎ映像化されている山形出身・在住の小説家・深町秋生さんの「深町」もこの作品由来なのかな…と勝手に妄想しています。大学時代の6年間を過ごし、親族も長年住んでいた山形の話題はいまでも気になります。
話はそれましたが、マンガミュージアムの建物は、かつて小学校校舎として使われていた昭和初期の木造建築です。使い込まれて黒光りする木の階段や石造りの重厚な手すりなどは、学校の面影を残しています。すっかり記憶の奥底に沈んでいた、中学校のとき一年間だけ過ごした木造の旧校舎を思い出させてくれました。
